コラム

別れさせ屋の大阪地裁の判決について

別れさせ屋の公序良俗に反するかどうかの控訴審判決について

別れさせ工作が公序良俗に反するかどうかのの控訴審判決。
「接触の方法は男女での食事にとどまり、自由な意思決定で行われた」
大阪地裁は、このような判断を下しました。裁判所は、被告側に未払い分70万円を支払うよう命じたのです。一審に続いて別れさせ屋側の完全勝利で終わりました。
これで別れさせ工作のこのような手段は適法であるということになったのです。
この判決の前後には、「直撃LIVE グッディ」をはじめとして、数多くのワイドショーからの取材依頼がありましたが、全部お断りしました。
裁判で白黒はつきましたが、単純に勝訴した側が正義で敗訴した側が悪とは言えないからです。裁判からは伝わってこない当事者間だけにしか分からないことがあるからです。だから、コメントすべきではないと思ったのです。
別れさせ屋側の気持ちはよく分かります。愛人契約などと同じく、公序良俗に反するような内容で契約をしてもそれは無効となり、履行する義務もありません。それを盾にして、後から、無効だから金は払わないと言われたらやってられません。別れさせ屋が原告になることなどめったにない話で、それほど頭にきたのでしょう。
勝訴もしたし、だから依頼人が全て悪いのか。部外者としてはそうも言い切れないのです。

別れさせ屋として気になった点

対象者と工作員の関係を元彼女にばらして別れさせた。これはあり得る方法ですが、別れさせ屋側はそれを事前に依頼人にしっかりと説明していたのかがポイントです。
これまでの経緯によっては、この進め方では、依頼人が疑われる可能性があります。復縁を望んでいたからこその別れさせであり、元彼女に依頼人の仕業であると疑われてしまえば、復縁はできません。
「肉体関係を使って工作員を好きにさせて対象者が元彼女から自然と離れていくようにする」
依頼人が別れさせ屋からこのような適法でない手段の説明を受けていたとすれば、別れさせは成功したが話が違う、疑われて復縁どころではなくなったと頑なになると思うのです。
工作は状況の応じて進め方や方法も変わってきたりするわけで、両者がしっかりとコミュニケーションがとれていたかどうか。探偵社側が法律やリスクの説明を細かくして、それをメールなどの形に残していたかです。
成果も重要ですが、人によって優先順位やこだわりの点も異なり、依頼する側の希望というものをくみ取ったうえで遂行していかなくてはなりません。結果が出たからいいでしょうという主張が通じないこともあるのです。
今回は依頼人にとって、別れさせがゴールではありません。復縁が目的です。訴訟を受けて立てば、元彼女にばれる可能性が高いのです。にもかかわらず二審までもつれ込んだのは、訴訟前にすでにばれてしまっていたからではないか。このあたりの事情がよく分からないからこそ、軽々にコメントできなかったのです。

支払いから見えること

また、依頼人の資金力です。未払い分は成功報酬となっていますが、それが全てではないかもしれません。130万円で契約したということは、着手金60万円、成功報酬70万円なのですが、実はこの別れさせ屋の料金システムは、着手金100万円、成功報酬30万円であった。しかし、依頼者に60万円しか支払い能力がなく、当初のシステムを変更してまでも、無理して契約に至ったとします。
それによって契約の効力が失われるわけではないのですが、資金的に無理な状況で依頼をしたりされたりすれば、その歪みがでてきても不思議ではありません。
成功失敗という結果だけでなく、依頼者様の内に込めるこだわりやプライオリティーなどのプラスアルファの部分をいかに吸い上げていくか。
幸いなことに弊社ではこれまでにこのようなトラブルはありませんが、今回の裁判を受けて、あらためてこの重要性を痛感した次第です。
それが人の気持ちを扱う仕事に携わる会社としての責務だと考えております。