コラム

別れさせ屋の話術2

報告が遅い言い訳だけでなく、他にもいろいろありますよね。

例えば、自分自身の別れさせ屋工作を希望している人がいたとします。
配偶者が浮気をしたから、もう別れたい、だけど配偶者が同意してくれない。
配偶者がだれだれと浮気をしたと自白をした会話を内緒で録音してある。
浮気相手との親密なメールのやり取りも自分の携帯で撮影してある。
ただ、配偶者は「もう浮気相手とは別れたから。絶対におまえとは別れたくない」と言い張って聞かないから別れさせ屋を考えているってパターンです。

別れさせ屋は一言二言目にはこう言うでしょうね。
「相手の承諾なしに黙って録音したり覗き見しちゃ証拠能力はないですよ。有利かもしれないが決定的ではないから、別れさせ屋工作は必要です」
「ホテルの出入の写真がないなら、ご主人に逃げ切られますよ」
「逆にプライバシーの侵害で訴えられて、不利になりますって」

この別れさせ屋は法律を知らないか、完全に営業トークです。
別に配偶者から同意をとっていなくても、肉体関係があったことを具体的に告白し、謝罪していればもう立派な一つの証拠になります。
秘密録音については説明し始めるときりがないし、解釈もいろいろあるのですが、分かりやすく言えば正当防衛みたいなもの。
配偶者が浮気という不法な行為をしていて、自分の権利を守るために、行った行動。
難しく言うと違法性を阻却する行為ってことになりますが、例え配偶者の同意を得なくても浮気の自白をすれば不貞行為の証拠になるわけです。
問題は証言の有効性で、配偶者の不倫相手が認めなかった場合。
ただ、メールのやり取りとか関係性を示すものがあれば、配偶者の証言の有効性は高くなり、不倫相手に慰謝料請求も可能で離婚を有利に進められる。
もちろん、強要したり好き勝手に都合のいい部分を選んで編集したりすれば、秘密録音に限らず、証言の有効性はなくなってしまう。
別れさせ屋工作が必要ないのにもかかわらず、それを勧めてしまうのってどうなのかと思う。

ICレコーダーを車中に隠しておいて配偶者と浮気相手の会話内容を盗み聞きする話と浮気の自白とをごちゃまぜに説明している別れさせ屋もある。
そりゃ相手の同意を得ない秘密録音には変わりはないが、前者と後者とでは全く違う。
前者は真実を証明する一端としてなら使えるが、それに比べて本人の告白や自白は強力。
別れさせ屋が必要であるか否かは、どのような状況で録音して、その内容がどのようなものであるか。そして、その他の状況証拠をどの程度持っているか。
この辺りを全部聞いたうえでないと軽々には言えないわけです。
敢えてそれを聞かずに、同意をとっていないから駄目だとか、プライバシーの侵害などで言いくるめるのは完全に営業トークの部類ですね。