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依頼人体験 |
依頼人様からの寄稿のため本人と特定されない様に文中の固有名詞は事実とは異なる部分がございます。 |
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「別れさせ工作」 東京都武蔵野市 30代 男性 会社員 近藤さん(仮名)より |
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| 面談編 |
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第一回 「探偵選びのエピソード」
ある日、妻と見知らぬ男とのツーショット写真(容姿からして、つい最近撮影されたものだ)を偶然発見してしまった。まさに晴天の霹靂。衝撃の一枚であった。怒りと悲しさに打ち震え、めまいを抑えながら冷静に妻を問い詰めた。
すると、妻は、その男としばしば会っている事を白状しはじめたのだ。
「会ってスグ後に、もう会うのを止めようと思ったの。だから大丈夫…」。
が、しかし、たかが数日後、男から電話が掛かってきたことで前言撤回、あっさり再燃。しかも、徐々にエスカレートしていったのだ。
「あなたのことを嫌いになった訳じゃない。でも彼のことが本気で好き。だから困ってる。こんな気持ちではこの先お互いだめになりそう」
「勝手な事を言うな! 好きな男ができたので離婚してくれ、じゃ納得いくわけないだろ! 俺に悪いところがあるなら改めるから、俺を納得させられるまでは、いきなり出ていったりはしないでくれよ」
ちょっと、弱気(?)な発言。いや、俺には守らなければならない子供たちがいる。自分の気持ちだけの問題じゃないんだ。精一杯の譲歩は妻に通じたらしい。
「抜け殻のような私でもいいなら…。しばらくは、子供たちの母親として、ここに居ます。急に飛び出していかないって約束するわ」
「おまえら、ダブル不倫だろ。無傷ではすまないゾ。いや、おまえが本当に独りになってしまった時どうなるか、心配なんだよ、オレは」。
強く言い切れない。譲歩というよりは、弱いのかも、俺…。だって、妻が好きなんだから仕方ない。結局、あとは妻次第という激甘決着。ともかく、煮え切らない雰囲気のまま、妻の素行を見て見ぬフリという平行線の冷戦状態が3カ月余り続いた。
いや、ホントは黙っていたワケではない。その間、ネットで興信所を探しまくっていたのだ。
しかし、電話で問い合わせをしてみると、どこも同じような返事。料金も予想以上に高い。悶々としながら、もっと良さそうな業者はないか、さらにネットで検索した。
すると、その検索にとある掲示板が掛かった。
そこは、自称“消費者トラブルコンサルタント”の女性が運営するサイトで、『悪徳業者に依頼して失敗した話』らしき掲示板を掲載していた。
気になる。真偽はともかく、読むだけなら損はないだろう。一応、目を通しておくことに。そして、その中のある投稿が俺の心を捉えた。
『彼が浮気をしていて、復縁工作を依頼したが、思いどうりの結果にはならなかった』と書かれていたので、最初は、これも失敗事例の悪評かと思ったが、少々違っていた。
『今回の浮気は納まったが、たぶん、彼はまたすぐに別の浮気をするだろう。そういう見定めをする材料をもらえたので、大きな成果だった。相手とは別れることにした。だけど、良心的に対応され、工作には問題なかったと思う。何より、大きな支えになってもらった。この探偵社に依頼して良かった』
“何でも完璧にこなす007みたいな探偵社だった”的なミエミエの投稿なら見向きもしなかっただろう。
しかし、この文章には、真実味を感じた。その探偵社がまた変な名前なのだ。【FAX探偵ドットコム】。
ナンダそれ?FAX専門探偵みたいなネーミング。だけど、FAX専門ってナニを調査するんだろう? いや、きっと、そういうコトじゃないんだろうな…。"First Answer eXpert"の略かな? ともかく、いろんな意味で頭に残る社名だった。
Webサイトでココを検索してみると、マスコミで紹介された記事等が多数紹介されていた。その記事毎に代表者名が違うような気がする。少し怪しい。でも、全体的な雰囲気は、他の探偵社の怪しさに比べたら、かなりまともに見えた。
とりあえず、まず見積り依頼メールを送る。ついでに、他にいくつかの探偵社にも送ってみる。その中で、一番早く返事がきたのは、このFAX探偵さんだった。
「この案件の場合、今聞いた範囲では、いくつかのシナリオが考えられます。しかし、一度面談をして、詳しくお聞きしたいのです。あなた様がどれだけの情報を持っているのかによっても違ってきますしお見積りは単純ではないので、ご検討ください」。
う〜ん、親切だ。その後数日間のうちに、他の探偵社からの返事も届いたが、それらは、どこも似たり寄ったりのものであった。
「不倫相手に女工作員をつけて誘惑し、その現場を押さえる。ここまでで●●万円。その後、相手が工作員にのめり込んだら、追加作戦を取る」
出た、007並のスパイ工作。そんなのがうまく行くワケないだろ。素人だと思ってナメてんのか。正直、そう感じた。でも、ちょっと粘ってみた。
「俺が不倫に気付いているということを、妻は承知だ。それでも、その作戦で行けるのか」
「ともかく、相手の弱みを掴んでみることだ」
おいおい、話をそらすなよ。やっぱり素人だと思っナメてやがる。相談したのにムカつかされてしまった。
FAX探偵さんの「状況によって違う。一度面談をして〜」という言葉が、頭の中で反響する。でも、不安だ。不安だが、面談してもらいたい。
うまく表現できないが、一番「友達っぽい雰囲気」の返事だったので、一か八かだ。しかし、不安は増すばかり。弱みにつけこまれてバカにされては嫌なので、堂々たる姿勢(カラ威張り)で挑もう。そうだ、便がよいからと屁理屈をこねて、直接、伺っての面談を希望してみようか…。
ん、何をウジウジ悩んでいるんだ。しっかりしろ、俺! よし、面談を受けるゾ!
こちらの申し出に対して丁寧な地図を送ってもらった。すると、「それだったら、新宿駅近くで会うのが良いのでは」と促された。なぜ、会社に直接じゃだめなんだ!? やっぱり不安だ…。しかし、提案された場所が人通りの多い交差点なので、不安ながら了解した。
面談日当日、待合せの交差点。時間を少し過ぎたが辺りを見渡しても探偵さんらしき人影はない。いや、俺のすぐ近くでスーツ姿の女性とラフなシャツ姿の男性のコンビが、辺りを伺っているゾ。しかし、どう見ても探偵っぽくない。っていうか、そんな近くでたたずまれたら、怖いよ。これだから、新宿は、好きじゃない。すると、携帯が鳴った。
「どうも、Iです」。
事務的口調の女性の声。え、女性?
「あ、はい」
と、返事をしながら横を向くと、例のスーツ姿の女性が会釈した。ということは、この怖そうなコンビがFAX探偵の人たちか? マジで?
「探偵さんらしくない格好ですね」
まずは、軽いジャブで先制打を打ってみる。
「それが狙いです。仕事の時はビシっとしてるんですけどね。普段は、その反動で、ラフな格好なんです(笑)」。
「なるほど(じゃあ、俺と会ってるのは、仕事じゃねーのかよ!)」。
ともかく無事合流。近くの喫茶店で面談をすることにした。店に入って、名刺をいただいて、また驚いた。男性はNさん。どうやら、FAX探偵社さんでは偉い人とみた。女性がIさん。今日の面談まで何度かメールでやりとりさせていただいたIさんは、実は、この女性だった。
探偵といえば、怪しげなおじさんか探偵物語の工藤ちゃんみたいなのばかりだと思っていた。まったくの偏見だが、Iさんも男性だと思い込んでいたのだ。面談がはじまって、まずこちらの現状を説明。見積り提示のとき、Nさんが言った。
「だいたいの予算は伺ってます。ですが、『この予算内でこれだけの事をしてくれ』とか『この工作にはいくらかかるのか』という事には、単純に答えられません。尾行や工作は、お金をかければいくらでも出来ます。しかし、ほとんどは無駄な作業についやされるのです。経費を安くするためにも、依頼人さんがどれだけ情報を持っているかも重要だし、お互い協力していかないといけないのです。私たちは、ゲームの駒です。目的達成のために、依頼人さんが、私たち(駒)をうまく動かしてください」。
ここまで言ってくれる探偵社があるだろうか。面談中に、ほぼ決めていた。FAX探偵さんに依頼する事を。決定的だったのは、この面談の時に感じた印象であった。それは、他の探偵社にはなかった良心的な態度であり、そしてそれは、実際に依頼して、密接なお付き合いが深まるにつれて実感していくことになる…。
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