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「浮気調査」  神奈川県横浜市 40代 女性  主婦  三村加奈子さん(仮名)より

第六回 追跡 〜待ち合わせ編〜

携帯から耳慣れた着メロが流れる。着信は、三沢さんから聞いていた番号からでした。

「旦那さんに聞かれる心配がないので、メールから電話に切り替えます。現在、関内駅付近で旦那さんは停車中です。車の中で携帯電話を操作しているようです。誰かとメールしているようですね」

見たい! そのメール、いったい、誰とメールしてるの? きっと待ち合わせの約束をしているに違いない。どんな絵文字を散りばめてるのかしら? くやしい…。酷い。あの日見た、若い女の顔が鮮明によみがえってきました。いや、ほかにも女が居るのかしら? 考え出したらきりがない。

どうして私が、こんな思いをしなければいけないんでしょう。良き妻で居れば、夫は浮気などしないもの。そんな幻想を本気で信じていました。私は、ナイーブ過ぎたのかもしれません。ああ、苦しい…。

でも、仕方ない。こらえるしかない。今、私は、調査という“手術”を受けている。信頼できる探偵という名の“お医者さん”に。苦しいのは当たり前なんだ。私は自分にそう、言い聞かせていました…。

「もしもし、三村さん? 三村さん? 大丈夫ですか!?」

「あ、は、はい。大丈夫です。聞いてます。メールをしているんですよね?」

いつの間にか、会話の途中で黙り込んでしまっていたようです。携帯を握る手も汗でびっしょりになっていました。

「あのお、どうも緊張し過ぎているみたいなんです。電話ではご迷惑を掛けてしまうと思いますので、連絡はメールに戻してらってもいいですか? すみません」

「いえいえ。問題ないですよ。お気持ちはわかりますから。旦那さんの動きはしっかり捉えておりますので、ご安心ください。また連絡しますね」

三沢さんのやさしい言葉に励まされて、私は電話を切りました。そして、台所へ。とにかく、落ち着かなきゃ…。

私は、お酒が苦手は苦手。でも、シラフで報告を聞ける心境ではありませんでした。お気に入りの紅茶に、主人のブランデーを入れて無理矢理、のどに流し込みました。怖い。でも、早く結果が知りたい!

ところが、あれから1時間程経っても、三沢さんからの連絡はありません。どうしたのかしら。調査の邪魔をしてはいけないと思いつつ、三沢さんにメールを打ちました。

『状況に変化がなかったので、ご連絡いたしませんでした。あれから旦那さんは、同じ場所でメールを打ち続けております。以前、動きなしです』

すごく早い返信。さすがは、探偵さんです。いや、そんなことに関心している場合ではありませんでした。いったい、どうなってるの? 
さっきは寝ていて、今度はずっと携帯? まるで狐につままれたような気分でしたが、私は、待つばかり。ああ、もどかしい…。