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週刊特報 連載中 「探偵 スッパ抜き紀行」------------------

7/26号 “多国籍軍”怒涛の大活躍!?
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世界各国から外人たちが集結する多国籍エリア・六本木。
そんな夜の街で、ある事件が起こった。
暴走する車、撥ねられる人々、そして、外人たちの思わぬ活躍…。
事件発生直後の現場に遭遇した探偵の番外レポート!


 「また、お越しください!」
業界初の探偵バー『アンサー』には、悩みを相談しにくる客から調査依頼を目的とした客まで、ありとあらゆる人たちがやって来る。
もちろん、探偵話を肴に、楽しい時間と酒を求めて来る方にも愛されている。

そこは六本木。

遊び人たちの夜は長い。
ときには、朝方に店の扉が開くこともしばしば。
その日も、最後の客を見送ったときには、時計の針が6時を指そうとしていた。
片付けもそこそこに店を出ると、早朝の陽射しが全身に突き刺さる。

空腹でめまいがする。

店に入っていると、客と盛りあがって、食事を摂るのも忘れがち。

何か食べなければ。

六本木交差点近くにある『松屋』が胃袋を支える朝も多い。

探偵の仕事とバーの接客業。
どちらも、極めて不健康な業種であることは間違いなさそうだ。
すっかり力のない状態で外苑東通りに出て六本木交差点へ向う。

目に飛び込む赤色灯。
こんな早朝から交通整理か? 

いや、そんな生易しい雰囲気ではない。

立ち入り禁止を示す黄色いロープが、ただ事ではない状況であることを告げていた…。

事件だ! 

その中心“グランド・ゼロ”は、交差点からロアビル方面に少し入ったところであることは、すぐにわかった。
六本木交差点からロアビル前の信号まで、飯倉方面の車線が完全に封鎖されている。

そこに、不自然な角度で放置された1台の車を発見。

深緑色のホンダ・レジェンドであった。

空腹も忘れて車に近づいてみると、車体全体がボコボコ。
フロントグラスにはクモの巣状のヒビがいくつも入り、リアウィンドウは完全に破壊されていた。

近くにいる人々が興奮気味にしゃべっている。

さっそく、聞き込んでみると、凄まじい話が耳に飛び込んできた。

何でも、その車を運転していた人物が夜中の六本木を大暴走。

車数台に衝突しながら、路地に入り、人を撥ね飛ばしながら、さらに暴走行為を続けたというのだ。

そして、そのとき、まわりで事件を見ていた外人たちが、その車に店の看板を投げ飛ばし、車体に飛び乗り、窓を叩き割るなどして襲撃。

運転していた人物を引きずり出し、取り押さえたらしい。

今、立っているのは、その事件が起きた直後の現場なのだ。 

壊れた飲食店の看板と大破した車が事件の事実を裏付ける。
いつもと変わらないのは、制服警官をからかう外人美女たちの笑顔だけであった。

翌日の事件報道は、次のようなものだった。

『泥酔運転、通行人ら6人けが。六本木で乗用車暴走。25日午前3時20分ごろ、東京都港区六本木の外苑東通りの都道で、普通乗用車がタクシーなど4台に衝突。路地に入り込み、通行人をはね、男性(42)ら6人が軽傷を負った。警視庁麻布署は泥酔状態で乗用車を運転していた韓国籍の新宿区西新宿、職業不詳の周晴夫容疑者(48)を業務上過失致傷などの現行犯で逮捕した。同署は危険運転致傷の適用も視野に入れ、事故の状況を詳しく調べている』

しかし、その影に、思わぬ“多国籍軍“の活躍があったことは、あまり知らされていない。
もし、彼らが取り押さえてくれなかったら、逃げる周容疑者によって、新たな犠牲者が出ていたに違いない。
路地にたむろし、我が物顔で闊歩する外人たちを忌み嫌う人は多いが、果たして、日本人だったら、そのときどうしたであろうか? 

少なくとも、探偵ひとりの力では、何も出来なかったことはたしかだ。

事件発生の翌日、以前と何も変わっていないかのように見えた“グランド・ゼロ”。

探偵には、テレビの報道で目にするイラクの自衛隊員より、だらしなく街にたたずむ多国籍外人たちの方が、よっぽど頼もしく写った。