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週刊特報 連載中 「探偵 スッパ抜き紀行」------------------

6/21号 国際派女優の美貌につい… 記事を紙面スタイルで読みたい方はこちら

別れさせ工作の中には、魅力的な異性を対象者に近づけ、恋人と引き離す方法がある。つまり工作員は恋愛のプロフェッショナルとも言えるのだ。今週はそんなイケメン探偵が逆に心を奪われてしまった出来事を紹介しよう。


 モテるためには何が大事なのか? 
それはズバリ相手をよく知ることだ。
敵を知り、己を知れば百戦危うからず。
持って生まれたモノの差はあるにせよ、頭を使えば、不足分を補うことは可能なのだ。

 とはいえ、男女問わず“仲良くなる”というアクションは、簡単そうで、実は困難なもの。
そこで、プロである我々は、対象者の趣味嗜好や日常の行動パターンまで十分に把握。
さらに性格分析を加えた上で綿密な計画を立てる。特に対象者との接触ポイントに関しては、細心の注意を払う。最初の印象が勝負を分けるケースが多いためだ。
もちろん工作員の腕は重要。
つまり、どれだけ魅力的に見せることができるかという人間力が、最後にはモノを言うのだ。

 しかし、工作員もひとりの人間。
上手く行かないときもある。
イケメンを武器に数多くの接触を成功させてきたオレも例外ではない。
そこで、そんなオレの、ある意味、事故とも言える素敵なミスの話を紹介しよう。

 対象者は、高級ブティックの女性店員だった。

調査員の調べで、周辺情報は揃っている。実際に自分の目でも確認し、工作のイメージを膨らませる。

作戦は完璧だった。

 工作当日、オレは、妹の就職祝いにプレゼントを買いに来たという設定で店を訪れた。
場所は表参道。
一張羅のスーツに腕時計は借り物のカルティエ。品のよさを演出した効果があったのか、滑り出しは上々だった。
慣れない婦人服を選ぶのを彼女に手伝ってもらうという口実もハマった。
イカしたトークで、一流企業の社員であることもそれとなくアピール。
そして、次回は妹と来ると言い残し、何も買わずに店を出た。
このあとのプロセスは企業秘密。
推理してみて欲しい。
ポイントは花束とだけ言っておこう。

 さて、対象者とのデートを成功させた数日後、オレは、「近くまで来たから…」と高級店のケーキを片手に彼女の店を訪れた。
彼女にケーキを手渡しつつ、皆さんでどうぞと他のスタッフに笑顔を振りまくことを忘れない。
こんな高級店とは縁のないオレだが、ファッション誌を読み漁って覚えたにわか知識をフルに活用。
知ったような顔をして話を振り、相槌を打つ。
まさに、その最中であった。

“事故”が起きたのは…。

「こんにちは」

 と、上品に挨拶しながら小首をかしげて店に入ってきた一人の女性。

あ、宮沢りえだ! 

心の中で思わず大絶叫。
涼しげな瞳、漂う気品。
工作中であることも忘れ、オレはりえチャンに釘付けになってしまった。

何を隠そうオレはリハウスのCMで白鳥麗子を演じていた時代からのファンなのだ。

しかし、その時、殺気にも似た寒い視線を感じたオレ。
振り返ると、嫉妬心の強い彼女の目が三角になっていた。

“事故”の修復には、莫大な経費が掛かってしまったことは、言うまでもない…。 

 後日、機嫌の治った彼女に聞いた話によると、りえチャンは店の常連客らしい。
しかも、欧米ではブティックに入るときには、挨拶するのがの普通なんだとか。
さすがは、国際派女優。
世界標準の常識も身に付いているようだ。

ココでオレは、考えた。
もし、対象者がりえチャンだったらと。

よからぬ妄想が頭の中に広がっていく。

ふと我に返ると、彼女の目が、また三角になっていた…。


【探偵ファイルNO.8】
何の変もない写真だが、ゴミ袋の中にカメラを仕込んでの撮影。
見た目はゴミ同然。
張り込みが厳しい場所では、しばしば使用する方法である。
しかしこの日はゴミ荒らしのカラスの攻撃を受けるなど撮影は苦労の連続。
ターゲットの顔は押さえられたが、カラスと格闘した調査員の手には生傷が絶えなかった。