今回は、彼氏の行動を心配する女性からの依頼。
果たして彼が浮気までしているかという事実を探るというのが目的だ。
こういうケースで手っ取り早い方法は、工作員が対象者に接触。
友人関係にまで発展させ、直接、聞き出すというものである。
仲良くなって、本音をポロっとしゃべらせようというワケだ。
さて、今回、接触する対象者。
そこそこ成功している某中小企業の代表というだけあって、連日、打ち合わせと称する夜遊び三昧。
接触ポイントには事欠かない。
そこで、我々も、とある企業の代表と部下という設定にして接触。
仕事の話などで盛り上がりつつ、ふたりのうちのどちらかが仲良くなるという計画で作戦を実行することになった。
調査開始3日目。
会社から対象者の尾行を行い、これという店に入ったところで後追い入店した。
そこは、元有名タレントがマスターを勤める都内某所のものまねショーパブ。
一見にもかかわらず、
「お帰りぃ〜。お二人様?」
と、常連のような愛想を振り撒かれ、我々は店内へ。
対象者を確認し、空いていた隣の席をリクエストする。
対象者は男性ふたり組。
漏れ聞こえる話の内容からして、相手は部下のようだ。
これは都合がいい。と、そんなことを考えながら、ふと、店内を見まわしたときである。
そこに、アノものまねタレント・コージ冨田の姿を発見したのだ!
カラフルな帽子を被りNOメガネ姿。
明らかにプライベートで遊びに来ているようで、隣には品のいい女性が座っていた…。
バーンッ。
急に鳴り響くファンファーレ。
ものまねショーがはじまった。
と、そのとき、店内のそこかしこからコージコールが。
「コージ、何かやってぇ〜!」
追い詰められるコージ。
アセるマスター。
おもしろくなってきた。
散々、渋ったものの、ついにコージはステージに立った。
「エ〜、それでは、金曜日のテレフォン・ショッキングで次のゲストを紹介するときのタモさん…」
マニアックだ。
ショーパブには向かないネタである。
笑い声もまばら。
アセりはじめたコージ。
連発するものまねも、イマイチ、パッとしない。
しかし、コージは、
「もう、この辺でね…」
と、助け舟を出したマスターを遮り、最後のネタを繰り出したのであった。
「じゃあ、石橋貴明やります。
『ざっけんじゃねーよ!』」
大受け。
プライベートを邪魔された挙句、スベリまくったイライラが反映された見事なものまねだった。
横を見ると、対象者も笑っていた。
これはチャンスだ。
「最初から貴明やればよかったと思いません?」
いきなりの接触でも違和感がないこの振り。
対象者も、笑顔で応対してきた。
そこからは、怒涛のトークを連発。
ショーを見つつも、ことあるごとに話し掛け、名刺交換成功。
次回、会う約束まで取り付けた。上々の出来である。
腕のいい工作員というものは、有名人であろうと何であろうと、任務のために使えるものは何でも使うのだ。これは、探偵の鉄則ともいえる。
しかし、気になるのは、コージの横に座っていた女性。
ヘコんだコージを慰める姿もどこかフツーの関係じゃない匂いが。
コージ調査の依頼があれば承りますが…。
【探偵ファイルNO5】
何の変哲もない子供の写真だが、撮影は大掛かりなものとなった。
依頼者はこの子供の父方の祖母。
母親、つまり義理の娘が子供を虐待しているのではと駆け込んできた。
隣のマンションの一室を借り約三週間監視した。
その結果、虐待の事実が明らかになったのである。
遠くを見つめる子供の目が今でも忘れられない。
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