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女探偵のひとりごと--------018----------

「何で探偵になろうと思ったんですか?」


よく聞かれる。
多分、1000回くらい聞かれた。

私は、嘘をつくのはあまり好きではないので正直に答える。

「探偵になろうと思ったわけじゃなくて、入った会社が探偵もやってたから」
「もともと、普通にマスコミとかに入りたくて就職活動していてその過程知り合った人の紹介で。(FAX探偵ドットコムはもともと週刊誌記者やカメラマンの人たちで作られているから)」
「異動で」
全部、本当の理由。

大学の途中からアルバイトで働き始め、そのまま就職した。
自分の人生で、探偵になりたいと考えたことなどそれまで一度もなかったし。
あの有名な「探偵物語」とか、ちょっと世代が違うし
テレビや映画の探偵モノも、全然興味もなかった。

本当は、男に騙されてこの道に入ったとか、
困った人を助けたいと思ってこの道に入ったんです!なんて答えの方が面白いんだろう。
聞く人は当然面白い回答を期待して聞いているわけだから。
だから、冒頭の質問を聞かれると私は困る。
私の答えを聞いた人は、みんなちょっとつまらなそうな顔をする。
でも、そんなところで嘘をついても仕方ないと思うから変えないけど。
必ず聞かれるから相手が喜ぶような答えを用意してあげようかとも考えるけど
そこまで作りこみたくないのだ。

だって、依頼する方にしてみればちゃんと仕事をしてくれるかが
一番大事なわけで、どういう動機で探偵になったかとかどうでもいい話だもんね。


気がついたら探偵が職業になってしまっていたというのが
正直なところだってのもあるけど。ま、よくある職業欄に「探偵」なんてないから
サービス業とか会社員とか書くけどね。

だけど、気付いたら毎日依頼人のことばかり考えている。
いつの間にかそうなっていた。多分、24時間考えてる。どういう作戦で行こうか、
どうやったらあの夫婦は離婚するのか・・・どっぷり、どっぷりはまっている。
ヒールの靴しか持っていなくて、スカートしか履かなかった私が、もう何年も踵の高い靴は履いていない。もうファッション誌を読むのも、勉強のため。張り込みに適した服と工作に適した服は違うし仕事のため以外の基準で服や靴は買わない。

プライベートの楽しみを欲しいと思わなくなった。
彼氏を裏切れない、そう考える女性なら探偵なんてできないだろう。
でも、彼氏といる楽しさより、この仕事の方が量れないほど魅力がある。
そう考える自分が不思議だとすら思わない。

依頼される方は、殆どが恋愛絡みの悩みを抱えている。
私が、彼氏とデートがあるからこの張り込み早く終わらないかなあ・・・
彼と会いたいからその日は工作受けられません。
彼氏に悪いから、対象者を誘惑するなんでできません。
もしそんなことを考える人間だったらどうだろうか?

プロにはなれない、なんて単純な言葉では言い表せない弊害が出るだろう。
だってそんなことは依頼人には一切関係ない話だから。
お金を頂いて、仕事を請ける以上きちんとやらなくてはいけない。
私はそんなに器用じゃないから、この仕事を完璧にやろうと思ったら
プライベートを捨てるしかない。どちらも中途半端になるのが一番嫌いだから。
そこに、迷いや後悔はないから苦痛は感じないしね。

そこまでどっぷりはまらなくても、プライベートはプライベートで充実させればいいんじゃないの?
そう忠告してくれるありがたい人もいる。
でも、本人がそう思ってないんだから、ね。

別にいいんじゃないのかな?
依頼人のためにプライベートを捨てて捧げている探偵がいても。

こう書いててしみじみ思った。人間って変わるもんだ。
それだけ探偵という仕事には魅力があるんだろう。