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もうすぐ一人前!?探偵土谷の探偵月記------------------

9月 増刊号 何かが見える、何かが聞こえる。(前編)

何かに取り憑かれる、なんていう表現がありますが、
この前の尾行のときは、まさに
百鬼夜行、魑魅魍魎が跋扈するエリアに、
探偵土谷は足を踏み入れてしまったのです。

それはある暑い夏の日のことでした。

日中の照りつけていた日差しがアスファルトに吸収され、夜になっても、うだるような、生ぬるい澱んだ空気が、都会のそこかしこに残っている・・・そんな夜でした。

今思えば、不吉の前兆だったのかもしれません。

その日は男の勤務先で、17時頃から張り込みを開始。
浮気の証拠をつかむのが目的でした。

キレイな奥さんがいるくせに浮気をする男に敵意をみなぎらせ、蒸し暑い車内で張り込む土谷。
ペットボトル1本分くらいの汗が出きった4時間後、

21時05分に男が出てきました。

足取りも軽く、駅へ向かう男。

 
「あぅうぁ〜、もぉぉ、遅いヨー、やっとかよっ!」

思わずそんなことを呟きながら、サウナ状態の車内から出て、
ぬるい外気を吸い込み、つかの間の開放感に浸る探偵たち。

そして、それこそ猟犬の霊に取り憑かれたようにターゲットを追う土谷。

男が携帯で誰かと話す様子をうかがいながら、

 
”その時”の期待に胸を膨らます探偵一同。

そして男は繁華街へと出て、ファッションビルの入り口で待っていた女性と合流したのです。

    キターーー!
    
キターーー!
    
キターーー!

さりげなく近くを通り過ぎ、会話を聞く探偵土谷、
カメラで遠くから撮影している探偵、
次の動きに備えている探偵。

三者三様の動きをとりながらも、
ココロの声は同じ探偵たち…。

そして土谷が二人の近くを通ったときに彼女が、「思ったよりすぐに出て来れたね。」と
彼に言っているのが聞こえました。

  うんっ、待てよ。あの女・・・、なんか見たような・・・、

  あぁ、ヤツの前に会社から出てきた女じゃんっ!

  ・・・っていうことは、


    
ズバリ ”社内不倫” なのね。


  よくあるパターンとはいえ、テンション上がります^^


二人は連れ添って歩きながら、狭い路地にある居酒屋へと入店。
探偵たちもほっと一息入れます。

依頼人様に連絡を入れつつ、出入り口が見える位置にスタンバイします。
出入り口は建物の表と裏の2箇所。

土谷は表、他の2人は裏と分かれて張っていると、
じめじめした暑さの中、遠くから奇妙な音が聞こえてきました・・。

 ペシッペシッペシッペシッ、

  ペシッペシッペシッペシッ、

   ペシッペシッペシッペシッ、

徐々に近づいてきます。
一秒間に2回くらい「
ペシッ」って音が響きます。

一瞬チラっと見ると、めがねをかけたサラリーマン風の中年男性が
路地からこちらに歩いてきます。

 
ペシッペシッペシッ、

  
?o?

なにやらすごい勢いで、
自らの後頭部を右手で叩いているのです。

  一心不乱に叩いているのです。

そして土谷の前を通りすぎた中年男性の後姿を見ると・・・、

  
叩かれている後頭部が夜目にも鮮やかな肌色なのです。

さらに、

 
ペシッペシッペシッ(ふわっ
 ペシッペシッペシッ(
ふわっ

よく見ると、なにかが、ふわっと地面に落ちてます。

 うんっ?

 
 うわぁぁぁっっ!!


 
   髪の毛じゃん(汗)


叩かれるたびに、髪が地面に落ちていく・・・。


  
怖い、怖すぎる。気の毒すぎて見てられん。


そちらを見ないように出入り口に神経を集中します。
危ねぇ、集中力を30%ほど削られたぜ、フゥ。

中年男性はビルの角を曲がり、
ペシッペシッも遠ざかっていきました。

するとしばらくして土谷の携帯がブルブル。

やっ、裏口から出たか?と思って電話に出ると、


  「土谷さん、土谷さん!スゴイもの見ちゃいました。」

  
「・・・それって、”ペシペシ髪ふわっ”じゃねーか?」

  「それっす、それ。」

  
「・・・俺も見た・・・。」

  「ボクも見ちゃいました…。」

  
「集中力、削られないようにな。」

  「・・・はい。」

(つづく)



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